玩具 | TamLab 授業のおもちゃ箱 https://tamlab.fc2.page 情報系科目の講義資料とツールを公開 Wed, 22 Nov 2023 12:37:00 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.7.2 オートジャイロ型紙飛行機 https://tamlab.fc2.page/category-materials/2118/ https://tamlab.fc2.page/category-materials/2118/#respond Wed, 22 Nov 2023 12:25:02 +0000 https://tamlab.fc2.page/?p=2118 二宮康明氏

11月20日の新聞で日本紙飛行機協会会長の二宮康明氏が逝去されたことを知りました。氏は,1967年から2016年まで月刊『子供の科学』で紙飛行機の付録を連載されていました。紙飛行機のパーツの形が印刷されたケント紙が折り込まれていて,パーツを切り離して貼り合わせると紙飛行機が完成するというものです。

氏の訃報に接して,昔作った「オードジャイロ型紙飛行機」のことを思い出しました。

「子供の科学」の紙飛行機と私

私は,小学校から中学校まで「子供の科学」を定期購入していたのですが,付録の紙飛行機を作ったことはほとんどありません。付録は「設計図」も兼ねるものと考えていました。残念なことに私は非常に不器用だったので,切り抜きや貼り合わせがうまくできずに,作品と設計図の両方を失ってしまうのが心配だったのです。

その代わり,ケント紙に鉛筆でパーツの型を描き切り抜いて紙飛行機を自作することは,よくやっていました。深く考えずに作図していたこともあり,良く飛ぶものは作れなかったと記憶しています。

オートジャイロの紙飛行機を作ってみた

あるとき(中学校の3年次か高校の1年次の頃?),「ちょっと変わった機体を作ってみよう」と考えて試してみたのが,オートジャイロの紙飛行機です。オートジャイロというのは,Photo. 1に示すような,ヘリコプターのような回転翼(ローター)を持つ飛行機です。ヘリコプターとは異なり,通常の飛行中はローターは動力から切り離されてフリーになっています。推進力は別の推進用プロペラで発生し,機体が前進して風を受けるとローターが回転して揚力を生み出します。

Photo. 1 小型のオートジャイロ 推進用のプロペラが後部に見える

二宮氏の紙飛行機の中には飾りのプロペラを持つ機体もあったと記憶しております。しかし,揚力を得るための回転翼を持つ紙飛行機に関しては,私は目にしたことがありません。「紙飛行機」の定義が,「全てのパーツが紙でてきていること」だとすると,紙だけで作るのは無理な「軸受け」を含むので,回転翼機は紙飛行機とは言えないかもしれません。しかし,面白そうだと思い,作ってみました。

作り方

フリーに動く回転翼を持つ,という程度の知識しか持っていない状態で作ったのが,以下の図(Fig.1~Fig.4)に示すような紙飛行機です。記憶があいまいだし記録も残っていないので,概略のみ示しています。パーツの形や数も覚えていません。問題の軸受けは,裁縫で使うマチ針とビーズを使っています。(ビーズは,竹ひごと紙で作るゴム動力の模型飛行機でも軸受けとして使われていたと思います。)

FIg1. パーツ一覧(紙の部品はもっと多い)        Fig.2 組み立て 

ケント紙のパーツを切り抜いたら,木工用ボンドで貼り合わせます(Fog.2)。ローターのパーツは切れ込みを入れ,回転方向側の縁の傾きが大きくなるようにして,断面が翼型になるように曲げておきます。

     Fig.3 ローターの取り付け           Fig.4 出来上がり

ローターの取り付け方の記憶があいまいです。たぶん,Fig.3のように,ローターをマチ針のヘッド部とビーズで挟むようにして針を刺しておき,木工用ボンドが乾ききらないうちに,本体の貼り合わせ部に差し込む・・・というやり方だったと思います。

飛ばしてみると

完成した機体を普通の紙飛行機のように手で投げると,ローターが回転しながら進んでいきます。飛行経路も,放物線というよりは若干直線に近いので,ローターが揚力を発生していることは確かです。しかし,よくできた普通の紙飛行機のように,上昇したり,旋回して長時間滞空しているということはありません。高度を下げながら滑空するだけだし,滞空時間も短いです。面白い飛び方はしないなあ,という感想を持ちました。

今調べてみると,実際のオートジャイロは,滑走距離が非常に短い,旋回半径が短い,失速しないなど,多くの特徴を持っていることがわかりました。ローターも,離陸時にはエンジンの動力を伝え,離陸後はクラッチを切ってフリーにするという機体もあったということです。

アニメーション映画の「ルパン3世 カリオストロの城」には「オートジャイロ」と呼ばれる飛行機が登場します。これは,機体の後部に推進用のプロペラが確認できますが,さらにローターの先端にジェットエンジンが付いているという奇妙な構造をしています。TVで観たときは「オートジャイロってローターは無動力のはずなのに・・・。」と思ったのですが,ローターを回転させる機体もあったことを今になって知りました。

もう一度作るなら

紙飛行機のオートジャイロはダイナミックな飛び方をしなかったこともあり,その後,作ることはありませんでした。でも,もう少し工夫すれば面白い玩具ができたかもしれないと思っています。例えば以下のようなことをしても面白かったかもしれません。

  • 材料を変える
    スチレンペーパーなど軽い材料を使う。軸受けに摩擦の小さいものを使う(ライトプレーン用のベアリングがあるみたい)。
  • ローターのブレードの数や傾きを変える
    ブレード(翼)を3枚や4枚にしてみる。また,回転軸を傾けるようにすると,旋回させることができたかもしれない。
  • 紐でひっぱる
    Fig.5のように,紐で引く力を推進力にする。

Fig.5 紐で引っ張るジャイロカイト紙飛行機

3番目の「紐で引っ張る凧のようなオートジャイロ」は,ジャイロカイトローターカイトと呼ばれているようです。潜水艦で引っ張る偵察用の無動力オートジャイロもあったそうです。

国際競技にもなっている紙飛行機では,推進力として手で投げるかゴムのカタパルトを使うことになっています。競技とは別に,凧のように紐を引きながら走ったり,向かい風の中で滞空させる形式の紙飛行機があってもよいのかな,と思いました。私が調べていないだけで,そのような玩具が世の中には出ているかもしれません。

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